「好きな人、いないの?」


奏太はふいっと背中を向けて、「いない」と一言。


「えっ、なんで向こうむくの?まさかいるの?」


これは怪しい!


奏太の前に回り込む。やっぱり無表情。


クールなイケメンの好きな人って気になるじゃん!


「誰ー?私が知ってる人?ねぇねぇ、可愛い?」

「いないって」


うそだ!さっきの反応は、絶対クロ!


「言っちゃいなよ〜。ね、ね?気になる!」


グイッと顔を近づける。なんだかんだで奏太は甘いもんっ。


うっ…とたじろいだ奏太は、観念したかのように、


「あぁ、いる、いる。すっげー可愛いやつ」

「やっぱりっ!?可愛い子なの?きゃー誰だろ、夏美とか?」


これは世紀の大発見!


奏太ママに言わなくっちゃ…!


「夏美?誰、それ」

「私の親友!じゃ、また後でね!」

「あっ、おい……」


私はスキップしながら教室に戻る。