休み時間に、奏太から連絡がきた。
『弁当、逆』
カバンの中を確認したら本当はピンクの包みのはずが、青色。
奏太のだ。
こういうのは昔からよくある。
お弁当は奏太ママが作ってカバンに入れてくれるんだけど、奏太ママってちょっと抜けていて。
かといって、私が苦手な食べ物は入れないでくれるから奏太のを食べるわけにもいかない。
お弁当を持ってコソッと教室を出る。
同居は秘密。
お弁当を交換してるところなんて見られたら大変だよ。
奏太と待ち合わせしている階段の踊り場に着くと、もう来ていた。
手にはピンクの包みのお弁当。
「麻衣」
「遅くなってごめん、はい交換」
周りに人がいないことを確認して、ササッと交換。
奏太は人気者だから、誰かが見ている可能性があるからね。
「…そんなに警戒しなくても」
「ううん、奏太の人気は凄いんだから…!」
うわさによると、週に1回は告白されてるって聞くよ!?
「…んなの、興味ねーけど…」
こんなにイケメンなのに、モテるのに。
奏太は今まで誰とも付き合ったことがない。
もったいないなぁ。