「麻衣、起きてる?」


ドアをノックする。


返事はなし。


寝てるのか、起きてるのか分からない。


「入るよ」


部屋は電気がついていなくて薄暗く、麻衣はベッドで寝ているようだった。


「………ホントに寝たのか。ココア…は置いとくか」


ローテーブルのコースターの上にカップをのせ、そっと近づいてみる。


むこうを向いて寝ているから顔は見えない。


軽く頭をなでてみても反応なし。


まぁ、こいつは1度寝るとなかなか起きないからな。


お互いのことは1番よく知っているつもりだ。


でもよく知っているからこそ…越えられないんだ。


このまま寝かせてよう。