「麻衣ちゃん〜、そろそろ行かないと遅れちゃうよ。美琴ちゃんと夏美ちゃんも」
すっかりクラスに馴染んでいる多賀くんは男子と女子のグループに挟まれてこちらに手を振っている。
もう人気者。すごいなぁ。
「……移動しながら話しましょ」
相変わらず多賀くんが苦手らしい美琴がため息をつきながらにらんでいた。
「さっきチラッと話きこえたんだけどさ。麻衣ちゃん幼なじみくんのこと好きなの?」
「えっ?あー…いや、ちがう、けど……」
隣で歩いている多賀くんから距離をとる。
極力関わらないって奏太と約束したから。
それなのに笑顔でさらに距離をつめてくる。
「よかった、麻衣ちゃんかわいいからさ。ライバルばっかだよー」
ええーっと……。
「あはは…。ありがとう…?」
い、居心地わるい。
さっきからすれ違う女の子たちがこっちを見てあからさまに嫌そうな顔をしている。
イケメンでノリよくて、そんな王子さまな転校生が私になついている?んだもの。