「おはよー美琴」

「今日もダンナひきつれて遅刻登校?
妬けるわぁ」


ニヤニヤと頬をゆるませながら、いつものように私をからかう。


「だーかーら。私と奏太はそんなんじゃないの。ただの幼なじみです」


恋人でもない、兄妹みたいな幼なじみ。


奏太のことは好きだけれど、そっち方面での好きではない。


「えっ、でも、一緒に暮らしているんでしょ…?」


隣の席から首をかしげながら聞いてくるのは親友の夏美。


「夏美、しーっ!誰かに聞かれてるかもっ」


私が慌てていると、


「なんだぁ」


美琴がため息をつく。


「まだみんなに言ってないの?
同棲して一緒に寝てるって」


ちょっ。


「ちょっと美琴っ!同居はともかく、もう一緒に寝てないよ!」


「もう…ね」


ふふふと笑う美琴は放っておこう。


いつもいつも、私をからかって。


自分だって、彼氏いるくせに!


「そういえば夏美、今日はバイトだったっけ?」


夏美は外見どうりの可愛い声で、うん!と頷く。