教室に入ると、バスケ部のクラスメイトが寄ってきた。
「瀬上、今日ヘルプで入ってくんね?練習試合すんだけどさ、人数足りなくてさ」
いつもなら了承していたが、今日は無理だ。
「……悪い。代わりにコイツにしてくれ」
悠介を前に出して、自習を始める。
「は?え、おれ?」
麻衣をできるだけひとりにしたくない。
スーパー寄って家に帰るまでどのくらい時間がかかるだろう?
学校を急いで出なくちゃな…。
家の冷蔵庫には、確かレタスと、卵入ってたっけな…?
「おまえ今日どうした?」
昼休み、屋上で弁当を食べていると、悠介が深刻そうな顔で聞いてきた。
「まぁいつもそんなに喋んねーけどさ。今日はずっとボーッてしてるし」
購買の人気商品らしい、クリームパンをくわえながらチョココロネの袋もビリッと破った悠介は、「食う?」と差し出してきた。
「いや、いらない。別になんもないから」
それに甘いモノは苦手だし。
麻衣なら喜んで食いそうだけど。
「まあ、なんかあったなら言えよ。俺今フリーだし」