久しぶりのみんなそろっての夕食は、とても楽しかった。
お母さんは胸くらいまであった髪をショートにバッサリと切っていてかっこよくなってた。
「ところでさぁ、麻衣と奏太くん、恋人とかいないの〜?」
すっかり酔ってしまっているお母さんがそんなことを聞いてくる。
「いるわけないじゃんー」
なんだか最近、この手の話多いなぁ。
「えー、好きな人もいないの?」
いないよ、私は。 あ、でも……。
「奏太はいるんだって。ちゃっかりと」
「おおっ」
ニヤニヤ、お母さん。
奏太の髪をくしゃくしゃっ、となでる。
「そうか、そうかぁー!青春だなっ。
…相手は誰だ?可愛い?」
奏太は迷惑そうに「まあ」とそっけなく返す。
「麻衣ちゃんの鈍感って、遺伝なのよねぇ」
奏太ママが台所で洗い物をしながらそうつぶやく。
私としては意味がさっぱり。
お父さんと奏太パパはコクコクと頷いてるけど。
「じゃあ奏太くんにはちょっと悪いかしら〜」
お母さんがそう言いながらバチッとウインク。
「実はねぇ、2週間ヨーロッパ旅行の抽選があたったのよお」