しぶしぶ引っ張られて扉を開くと…、


「きゃあっ!?」


白い服の人がつっ立ってる!

…ナースの格好をした受付の人だった。


「ビビりすぎ」


くすりと笑った奏太がチケットを出すと、ナースの人にいってらっしゃいとニッコリ手を振られる。


それすらも少し怖い私は奏太の腕にしがみついた。


ホラーが完全苦手な私にとってお化け屋敷なんて無知のスポットだ。


怖いだけのアトラクションなんてなんの意味がある?


…怖いだけだよ!


奥から前を行く人たちの悲鳴が聞こえるたびに体が震えてしまう。


奏太にぎゅっとしがみついたまま、廊下を歩く。


廃病院がコンセプトとなっているらしきこの建物は、薄暗く声も響く。


だから余計に怖くて━━━━━━━、



ギイィィ……。




何かがきしむような、乾いた音。


ドアが開くような。


見たくない。

けれど少しの好奇心が邪魔して、そうっと後ろを振り返った。