朝は目覚ましだけでは起きられない。
「おい、麻衣、起きろ。また遅刻すんぞ」
ゆさゆさと揺すられて思わず寝返りをうつ。
…まだ…あと10分…。
「だーめーだ。昨日もギリギリだったろ」
「う〜…ん」
眠いよー…。昨日、ずっとマンガ読んでたから……。
「麻衣、いいかげん起きねーと置いてくぞ」
その言葉を聞いて、私を起こしてくれている幼なじみにぎゅっと抱きついた。
「だめ…おいてかないでー…奏太」
「わ…わかった、待っとくから。
ほら、起きたんなら着替えろ」
のろのろとベッドの上に座り直すと、奏太はすぐに部屋から出て行った。
目覚ましだけじゃ起きれない私をいつも起こしに来てくれる。
こんな幼なじみに甘えっぱなしな私は
白城麻衣、高校1年生。
苦手なものは勉強と球技、そして早起き。
そう。いわゆる平凡女子。
強いていえば、生まれつきの茶色の髪は友達によくいじられる。
そして、一緒に暮らしている幼なじみの
瀬上奏太。
頭よし、運動神経よし、オマケにイケメン。
常にクールな女子たちの注目の的。
クールでも、本当はとても優しいのになぁ。