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side 花園ここな

私は確信していた。
彼女とは、梨花とは今日初めましてだけれど、彼女が彰人の彼女だと。

どんなに綺麗に咲いてる花よりも、自分が見つけた儚く咲いてる花に惹かれる。
男はそういうものだ。

「ねぇ、ここな?駅着いたけど、ここなも目的地ここってことでいいの?」

隣に立つ梨花は、そう言った。

…私は本気で彰人の恋を応援する。

彰人が幸せならそれでいい。

邪魔する人は許さない。

そう、異常なまでに彰人の幸せを願うのは、過去に彰人に何度も幸せを分けてもらったからだ。

私が、泣いてるときは、冷たいながらも相談に乗ってくれた。
私が、笑っているときは、隣で微笑んでくれた。

なら、私が今度は間接的にでも彰人を幸せにするべきだと私は思っていた。

もちろん初めは、私自身が彼女になって彰人のことを幸せにしようと思っていたのだけれど。

今となってはもう、そんなのどうでもいい。

隣に立つ首をかしげる梨花を見てそう思った。