私たち二人は、自転車を押して帰る。

「…私はあなたのことなんて呼べばいいのかしら?梨花、でいいの?」

ここなちゃんは私に聞いた。

「うん、もちろんだよ、ここなちゃん。」

「別に、私もここなで良いわ。」

「え、あ、そう?じゃあそう呼ばせてもらうね!」

私は笑顔で言った。

「ねぇ、梨花。彰人くんの話が聞きたいんだったわよね?」

「あ、実はね。呼び止めるために彰人くんの名前を出しただけなの。ごめんね。
そういう話は本人の口から聞きたいから…。」

私は申し訳ない気持ちでここなに言った。

「そう。良い心構えだと思うわよ。」

ここなは微笑んで言った。

「…連絡先教えるわ。何かあったらここにかけて。彰人が何か悪いことしたら私が怒ってあげるから。」

そうやっていうここなはどこか無理しているように見えたが、私の気のせいかもしれない。