そんな期待とかされると恥ずかしいというか、心の準備が出来ない。
 まだキスするのもやっとの段階だし……。

「まったく……あなた達は、未だに進んでないの?
キスして相手が鼻血とか思春期のお子さまねぇ~」

 うっ……そう言われると言葉が出ない。

「あ、でも似たようなお子さまも居たわね。
ねぇ~坂下君?」

 チラッと窓際の下を見る奈緒だった。
もしかしたらと下を覗くと……居た。
 いつものように坂下君が近くで聞いていた。
しかし何だかさらに落ち込んでいた。
 いつも思うけど……何故いつも居るのだろうか?

「うるせなぁ……」

「婚約者になって、お母様から子作りの許可まで出たんですって。これは、大変よねぇ~」

 落ち込んでいる坂下君を見ながら奈緒は、クスクスと笑う。
 すると急に坂下君が立ち上がった。
そして頬を染めながら私をジロッと睨み付けてきた。

「く、クリスマス。アイツと過ごすなよ!
それだったら俺と……俺と過ごせばいいじゃん!!」

 顔を真っ赤にさせるとそのまま走って逃げてしまった。
 えっ……一緒に過ごせって?あの……えっ?
坂下君の発言に唖然とする。

「本当……お子さまよね?
 可愛いと言うかウブで純粋と言うか……上紗のことが大好きって伝わってくるのにね」

「えっ?私のことが好きって?えぇっ?」

 いや。まさか……いくらなんでも坂下君は、生徒よ?
そんな訳がないじゃない。

「フフッ……あんたも鈍感よね。
 あれだけ好き好きオーラ出しているのに未だに気づかないんだもの」

 奈緒は、そう言ってクスクスと笑ってきた。
坂下君が……私を!?
 またまたぶっ飛んだ発言が出てきた。
だって坂下君って……生徒で私は、教師よ!?
 それにあれだけ生意気な口を聞いてくるし、毎日ってぐらいに喧嘩しているのに……。