鬼龍院さんをギュッと抱き締めながら大はしゃぎする。
 うーん。見た目は、迫力満点の極道の妻みたいだが、どうやら鬼龍院さんには甘いらしい。
 これは、姑と嫁の取り合いになりそうな気がする。
よくあるマザコン親子を想像してしまった。

 いや、鬼龍院さんが天使みたいだから、そうなるのも
無理はないけど……。
 ドキドキしながら見ているとハッと何を思ったのか急にお母様が抱き締めていた手を離した。

「そうだわ。結婚する気ならこうはしていられないわ。
あなた達。早速婚前旅行して子作りしなさい!」

 は、はい!?こ、婚前旅行に……子作り!!
お母様は、突然ぶっ飛んだことを言い出してきた。
 いやいや、婚約したばかりですし。
それに子作りだなんて……話の早い。
 いきなりそんなことを言われても困ってしまう。

「か、母さん……それは、いきなりだよ!?」

「何を言っているの。葵ちゃん。
 遅いか早いかの違いだし、結婚してこの家に嫁ぐのなら元気で可愛い男の子を産んでもらわなくては。
 跡継ぎを産むのも嫁の大切なことよ!」

 えぇっ!?いや……確かに結婚したら子供とか跡継ぎとか問題にはなる。
 しかし、いくらなんでも急過ぎるでしょう?
私達は、まだ婚約したばかりだ。

「お、お母様……それはですね……」

「もうすぐクリスマスなんだし丁度いいじゃない。
 素敵なホテルを予約してあげるから、クリスマスの間にさっさと済ませなさい。
 いい?これは、命令よ!」

 ちょっとお母様!?
私達には拒否権はないのですか!!
 どうしたものか、困ったことになってしまった……。

 お母様に仕方がなく?賛成してくれたのは、嬉しいのだが何だか大変なことになってしまった。
 クリスマスは、鬼龍院さんと過ごしたいと思っていたが目的が目的だし……。
 チラッと鬼龍院さんを見ると赤く頬を染めていた。
あぁ……どうしよう。

 悩みに悩みに。翌日に学園でいつものように奈緒に相談した。すると大爆笑された。
 ちょっと奈緒!?笑わないでよ……。

「ちょっと笑わないでよ!?」

「アハハッ……だって強烈なんだもん。
 しかし、あんたの周りって変わった人が多いわね。
あーお腹痛いわ。いいじゃない。
 許可が出ているのならさっさと済ませたら」

「簡単に言うけどさ~」