「えっ?上紗さん……どうして!?」

 私がお見舞いに来たことに驚いていたけど、そんなの気にせずに駆け寄り鬼龍院さんを抱き締めた。
 泣きながら……。
鬼龍院さんは、戸惑いながらも左手で抱き締め返してくれた。

「良かった……無事で」

 鬼龍院さんのぬくもりや匂いがする。
生きていると感じて余計に涙が溢れてきた。
 良かった……本当に。

「ごめん……連絡出来なくて。
 カッコいい台詞言ったのに怪我しちゃって
それをどう伝えたらいいか分からなくて連絡が出来なかったんだ」

「馬鹿……そんなの気にしなくてもいいのに。
凄く心配したんだから」

 撃たれたと聞いた時は、生きた心地がしなかった。
もしかしたらと思ったら怖かった……。
 だから余計に会いたかった。

「……ごめん。もう大丈夫だから。全て解決したから」

えっ?それって……。
 私は、顔を上げて鬼龍院さんを見た。
すると大河内君が現れた。

「それは、伊崎組を無事に解散に追い込み
海外の取り引き先を見事に潰したってことだな」

「大河内さん!?どうして……ここに?」

「あぁ、たまたま会った上紗ちゃんが君のことを心配していたからお見舞いがてら一緒に連れてきたんだ。
 1人だと居場所が分からないだろうって思ってな」

 驚く鬼龍院さんに対して大河内幸也は、私の代わりに詳しく説明してくれた。
 正直彼と一緒に来るのは、抵抗があった。
でも仕方がなかったのよ……鬼龍院さん。
 すると鬼龍院さんは、ニコッと微笑んだ。

「そうだったんですね。わざわざすみません大河内さん。
 あなたの資料のお掛けで無事に伊崎組を追い込めました。
 警察も動くので他に買収に関わっていた連中もすぐに捕まると思います。ありがとうございました。
 何でお礼を返したらいいか……」