嫌いだ
あの子が嫌いだ
自分が嫌いだ
生きているのが不思議なくらい
死ぬのを望んでいるけど
死ぬ事が出来ない
どうせ生きてるなら
物語のヒロインみたいな人になりたかった。
でも私は
ヒロインみたいに元気で明るくていつも、優しい人なんかじゃない
気まぐれで好き勝手するワガママな
脇役に過ぎない
自分なんかがヒロインになってはならない
ずっと脇役でいればいい
だから嫌いだ
何もかもが嫌いだ
夢中になれるものがあればそれに取り憑かれるように必死になって生きてゆける
でもそんなものなんてない
数日で飽きて親に迷惑をかけるだけ
生きてるだけで粗大ゴミ
誰も自分なんていらないと思ってる
こんなのって生きてる意味に入ってるのか?
嫌いの中に何が残っているのか
ぶつぶつとスマホを打っているのは私
加藤沙耶
都心部に一人暮らししている女子高生
辛いことがあれば常にトイレに引きこもって指を突っ込み吐き出している。
決して具合が悪い訳でもない
でもものすごく痛い
何かが痛い
ずっとどこかに刺さっている棘が抜けない。
その正体なんて知らない
不意に訪れる悪魔だ
外では偽物の灰被りの私が生まれる。
思ってもないことを口から発して、ただストレスの溜まるだけ
みんな年頃の子は恋をしたりと学生らしいことをしている。
私はどうだろうか?
みんなに憧れてそれらしきことをしてみた。
でもやっぱり違ったのかもしれない。
相手がどうなってもいいし、好きって気持ちを伝えられるその言葉が見つからない。
嫌いに塗れた私には好きなんてわかんない。
だからみんなに合わせて決してしたくもないことをしている。
楽しいかって?
ものすごく楽しいわけが無い
心の声が全てバレたら私は本当の粗大ゴミになるのだろ。
私は心の閉ざしきっている
私のこころのなかなんて誰も理解できない
誰も理解して欲しくない。
心の扉なんて誰にも開ける気なんてない
でもひとつ欲を言ったら、
誰か私の物語に終わりをください。
ただそれだけ、
私という物語は早く終わらせすべきなのだ。
君に出会うまで,
ある日、クラスに転校生が来た
周りできゃっきゃっと騒ぎ出して
「イケメンかな?」「可愛い子かな?」
っと妄想して盛り上がっている。
ほんとにバカバカしい、
転校生の名は
雨宮 龍
みんなが言うにはかなりのイケメンらしい。
運が悪く雨宮は私の隣の席だった。
少女マンガによく出てくるながれだ、
みんなが良くても私はとうてい嫌だ。
「ねぇ、君の名前は?」
何この人? 私に喋りかけてくるの?
「加藤沙耶ですけど、?」
相手にするのがすごくめんどくさい。
「じゃあ沙耶ちゃんね!よろしく!」
「はぁ、どうも、」
いきなり、し、下の名前?
この人距離感どうなってるの?
このままじゃ頭おかしくなりそう。
早く席替えしたいなぁ、
雨宮は休み時間も放課後も常に引っ付いてくる。
一人でいる時間が無くなっちゃうし、ほかの女子からの視線が集まってめんどくさい、
さすがにたえられなくなった
「ねぇあんまりさ、引っ付いて来ないでよ」
「え〜別に良くない?俺沙耶ちゃんのこともっとしりたいんだもん」
知りたいだなんて、こんな取り柄もない私の何が知りたいわけ?
今日で全てが狂いそうです。
そんな彼が転校生してきてから1ヶ月になった。
この日から私の生活は変わった。
朝学校に登校すると、なぜか下駄箱に靴がなかった。 「あれ? 入れたはずなのに?」
かなり不思議だったが、そのまま入った。
その後ろで、くすくす笑う声と舌を打たれた音がなった。
あ、彼女達がやったんだな、
私はすぐに察した。
彼女達はクラスの中心的存在の佐藤さんと小泉さんだ。
私と違って男女共に友達が多く男女から好かれている人達だ。
私ととても住む世界が違う人だ。
さすがに靴下で過ごすのもなんだから返してもらおうと声をかけた。
「ねぇ?私の靴知ってるでしょ?それなら返してもらえる?」
「はぁ? このクソ陰キャが話しかけんなよ」
「クソ陰キャですみませんね、じゃ返して貰えますか?」
「はぁ?知らねーしw人のせいにしてんなよw」
ほんとに話にならない。
聞く気にもなれないからほっておこうと思った時、
「ねぇねぇ佐藤さん、さやちゃんの靴の場所知ってるなら返してあげて? 」
「え?」