『キーンコーンカーンコーン』

チャイムの音にハッと目覚めた。

「あたし…寝てた?」

…夢を見なかったのか、いつぶりだろう。

こんな穏やかな目覚めを迎えたのは。

「んん…。」

び…っくりしたぁ!!彼と繋がる左手。

温かい…もうすっかり同じ温度だ。

「寝て…る??」

あたしの膝の上に頭を乗せて、

スヤスヤと寝息をたてる天使…。

「整ってるなぁ…」

すべすべの頬を撫でながらポツリ。

その時、ベッドを囲っていたカーテンが、

シャッと音をたてて開かれる。

「きゃあっ!!」

二人だけの空間だと思っていたあたしは、

驚いてその人に枕を投げつけた。

「ぶふっ!!………随分元気ねぇ?」

「えっ…」

その人は…怒り心頭であたしに微笑む。

あ、やばい、養護教諭のお色気先生!!

ウェーブのかかった長い黒髪に、

真っ赤なリップが似合う大人な女性。

超美人だけど、超怖いって有名。

「あらぁ、この子はホタル君じゃないの。
月乃サァン…もしかして逢い引き?」

「ち、ちが、違います!夏夜起きて!!」

あたし保健委員だから!やばいって!!

やばいってぇぇえっ!!