夏夜は少し驚いたように目を見開く。
当たり前じゃん…高校生にもなって、
一人は寂しいとかコントか!?ネタか!?
しかもこのあたしがだよ??はっず!!
「ごめん、その…行ってらっしゃい」
夏夜は一瞬ピシッと固まった。
あぁ、恥ずかしい…もう…あたしの馬鹿!
「あーもー、仕方ないなァ、
寂しがり屋の月乃チャンの為に、
寝るまで側にいてあげましょう。」
彼はあたしの手を包むように握ると、
ベッドの近くの椅子に腰かけて微笑んだ。
「授業…いいの?」
「いいよ、成績落とすつもりないから。」
そんなに簡単に言い切れるなんて。
あたしは溜め息をついて瞼を閉じた…。
あたしよりも大きくてしっかりした手。
「あたし、夏夜はもっと細いと思ってた」
「…俺は…男だぞ。」
彼は少し拗ねたように呟く。
「ふふっ…知ってるよ、ごめんね」
あたしが余りにも素直だから心配なのか、
彼はあたしの手を温めるように撫でた。
じんわりと彼の熱が伝わってくる…。
優しい…温かい…。その時に初めて、
自分の手が冷えていたことに気がついた。
さっきはあたしの方が熱かったのにね…。