「あ。次、ここ見てもいいかしら。」
洋服の紙袋を片手に向かった店は、
ショッピングモール内の一角にある本屋。
あたし達は参考書コーナーにいた。
「…漫画を見るのかと思ったから、
本屋行くの賛成したんですけどぉ?」
麗菜ちゃんは大きな溜め息をつく。
「馬鹿ね…早く勉強に取りかからないと、
退学って単語に怯えることになるわよ。」
そろそろテストがあるでしょう?と、
麗菜ちゃんはあたしに参考書を手渡す。
「そーねぇ…あっ!」
あたしが目を反らしたこの先、
ふと目に入ったピッタリの参考書を、
麗菜ちゃんにずいっと手渡す。
「今の麗菜ちゃんにはこの参考書が、
一番必要だと思うよ!あたしは!!」
『♡彼との恋を成就させる恋愛参考書♡』
「あなた…それどこから持ってきたのよ!
ぶん殴る…面を貸せ!お節介!!!」
「だぁぁぁあっ!!麗菜ちゃんこそ!!
どっから持ってきたの!?それは死ぬ!
それで殴ったらあたし死ぬからぁっ!!」
重さ5kg はあるであろう分厚い辞書に、
あたしは絶句した…いや、もはや鈍器。
結局あたしは彼女に謝り倒して、
参考書を奢る羽目に。