「怜治、仕事は最近どうなの?」

「ん、普通。」

あたしは二人の会話を聞きながら、

にやけそうな顔を引き締める。

「仕事忙しいのにカフェの手伝いも、
やってるの??身体…大丈夫?」

「心配なら俺の代わりに店手伝えよ。
最近バイトの数が足りねぇの。」

霧島君は麗菜ちゃんのコップの縁を、

指先でなぞりながらチラッと彼女を見た。

「…手伝い…。」

「あら、怜治がいるってことはぁ~!
…やっぱり、麗ちゃんいらっしゃい!!」

お店の裏から出てきた綺麗な女性。

霧島君の母親だ…父親であるおじさんも、

ハンサムって感じだけど…おばさんは、

まさに美魔女って感じ。流石親子。

まさに理想の家族経営だ…。

「そうね、麗ちゃんが手伝ってくれたら
私も大助かりだわぁ、頼めるかしら?」

おばさんは勿論給料はしっかりと、

支払うわ!とにっこりと微笑んだ…。

「…働きます!働かせてください!!」

麗菜ちゃんは勢い良く立ち上がり、

キラキラの輝く笑顔で強く頷いた。

ここは桜木が並ぶ坂道の途中にある、

隠れ家のような優しいカフェ…。

優しい木漏れ日に新しい時間が包まれる。