「え、嘘…本当なんですか…??」
物凄く怪訝そうな顔で聞き返す。
「えぇ、自分らしく歌える環境が、
やっと整いそうなの…ね、澤田さん」
真由さんには私が恋敵だとは、
バレていない…やはりギャルメイクは、
印象を随分左右するんだなぁ…。
今回はメイクや髪型そして話し方も、
大人っぽい雰囲気で整えたもんね。
「はい、これから大切な話があるので、
これで失礼致しますね、栗田さん。」
「あぅ~…ホタルきゅんは…??」
動揺を隠すようにあらゆる御託を並べ、
香乃さんこちらへ…と手招く澤田さん。
廊下の角を曲がった瞬間謝り倒した。
「すみません、話を合わせてくださり、
…本当にありがとうございました!!」
「大丈夫ですよ、嘘では無いでしょう?
シンガーソングライター香乃魅月さん、
以前からもしかしてとは思ってました。
さぁ、ホタル君の所へ行きましょう!」
ん?もしかしてと…思ってたぁッ!?
「え、身元がバレて…!?」
「いえ、ホタル君がよく聴いていて、
以前に好きなんですかと聞いたら、
初恋の人の歌い方にそっくりだと。」
初恋の人…改めて言われると照れるな。