「…顔、怖いよ。何焦ってんの?」

違うよ…本当に焦ってるのは、

「焦ってるのは魅香だろう?
何を誤魔化そうとしてるんだ。」

蛍の手に込める力が少し強くなった。

私は愚かなことに何か繕う言葉を、

頭の中の辞書をぶちまけて…捲って、

血眼になって…彼への言葉を探した。

「…そう、思う?」

ただ、彼に正直に事実を話せば、

それで良かったというのに。

幸せを逃がさぬよう…零さぬようにと、

目的を見失ってしまった私に、

彼の冷たい視線は痛いほど突き刺さる。

「思うから…勝手に確かめる。」

蛍は私の顎をグイッと持ち上げ、

噛みつくように口をつけた…。

口の中に熱を持った彼の舌の感覚。

柔らかくて…惚けてしまいそうになる。

「…んっ、んぅ!!んーっ!!」

我に返って彼の胸板を押すも、

体格差のせいでびくともしない…。

…頭がふわふわしてきた。

「んんぅっ…!!」

膝がカクカク痙攣して、心臓が痛い。

死んじゃう…目がチカチカする…!!

「ンッ!!」

「はぁっ…はぁ…はぁー…」

やっとのことで距離を取ると、

彼は俯いて口元を手でおさえていた…。