「頬や肩や胸や、要は人の体の一部に触れると、心の痛みが火の玉になって見えるんだよ」

河川敷の堤防に並んで腰かけて、コンクリートの隙間から生えていた雑草をマコトはぶちっともぎり取った。

相手の体の中心に、火の玉みたいな丸い影が浮かぶんだ。

「そいつをこっちにたぐり寄せるイメージで、こい、こい、って念じると、火の玉が俺の中に入ってくるんだよ。で、俺が、相手の代わりに傷ついて、相手が楽になるってわけ」

もぎとった雑草を弄ぶみたいに指で半分に千切る。半分、また半分。


「……信じられない」
「だろうな」

細かくなったそれを、ぱっと捨てて見せる。小さな緑が一瞬待って、足元のゴミになる。