「制服だね。学校、行けたの?」
少し間を置いて横に首を振る少年を前に、そっか、としかマコトは言わなかった。
牛乳瓶みたいな分厚い眼鏡は鼻の先までずれていて、それもなぜか曲がっている。
学ランはぶかぶかでサイズがあっていない割に、ズボンの丈はやたら短くて白いソックスが覗いている。
気弱で陰気な中学生のステレオタイプみたいな恰好だ。
これから相談に乗るのか……ここで座って話を聞いたりするのか。カウンセリング?っていうやつか?
少年は、マコトの影に隠れる俺のことをいぶかしげに見つめる。
なんでお前がいるのかって?一番そう思っているのは俺の方だ。
「ほほほ本当に、僕の苦しみを、もも貰ってくれるんですか」
突然、興奮した様子でそいつが喋り出す。
俺はぎょっとして息を飲むけれど、マコトは動じることなく頷いた。