「傷つき屋です。あなたの痛みを、代わりに請け負います」
俺は途中まで声に出して読んで、途中からは声に出さずに読んだ。
「俺のエスパー、見たい?」
得意げな様子で歯を見せて笑うマコト。
昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴って、ガタガタと机や椅子を動かす音が響く。
「え?」
まぬけな声が出た。
マコトはひょいっと机から降りて、俺の手からガムの箱を奪い取る。
「放課後、付き合えな」
机のノートを手に取ってマコトは自分の席へ戻っていった。
授業の始まる気配のないざわついた教室を、俺は隅の席から眺めた。