蕎麦を食べたあと、弟たちはお風呂に入って寝たので、アタシは少し自由な時間を過ごすことにする。

部屋で勉強をしていると、母さんが帰ってきた。

「息吹(いぶき)、ありがとう。毎日」

そう、声をかけてくれた。

「大丈夫だよ、母さん」

アタシはニッコリと笑顔で返す。

「本当に、ごめんね、息吹。あなたには、女の子らしい生活すらさせてあげられないわね……」

「心配しないでよ、アタシはアタシなりに楽しくやってるんだからさ」

「……そう? 本当にありがとう」

そう言って母さんは部屋から出て行った。

"大丈夫"

そう言ってしまうのはとても簡単だ。

でも、それはホントなの?

アタシはホントに大丈夫?

弟たちを幸せにしてあげてる?

思考がぐるぐる回って答えが出ない。

ふと空を見上げると、雲に覆われて、星も、月も見えない空が広がっていた。