そうして、ブランチのような時間でご飯を終えた私たちはご近所へと散歩へ出かけることにした。
最近、一気に季節が進んだので軽めの羽織物が必要になった。
ニットのカーディガンを羽織り、フレアスカートにぺったんこシューズで私は小さなカバンを一つ斜め掛けして準備完了。
雅貴さんは、ブラウンのチノパンに水色のラフなシャツにベージュのジャケットを羽織っている。
カジュアルだけれどしっかり目の格好に、私は自分の服装を見て言う。
「私も秋口用のワンピースとかのほうが良いかな?」
そんな私の言葉に、雅貴さんはニコッと微笑んで
「大丈夫だよ。今日の服も似合っているし、可愛いから」
うん。
こういうことをサラッと言えちゃう雅貴さんって、やっぱりモテるよね。
町歩きを始めて、散歩に出ればこの前まで緑だった銀杏はすっかり黄色に色つき始めていて、秋が深くなったことを示している。
「これから、もっと寒くなるんだね」
あっという間に過ぎた日々に、そして穏やかに過ごせていることに驚きを隠せない私だが、ひとえにそれは思いやりに溢れる雅貴さんの性格も大きいと感じている。
ゆっくりと二人で季節を感じつつ歩いていた時、声を掛けられたことで、私は自分が甘かったことを知ることになる。
「まぁ、一ノ宮さん。 偶然ですが、やっとお会い出来ましたね。 この間のお話、進んでいるのご存じですか?」
艶やかに笑う、私と同世代の綺麗な女性が私の隣の雅貴さんに話しかけてきた。
見るからに高級そうな装いに、私は彼女は雅貴さんのようなお家のお嬢さんだと察した。
しかし、この間の話とはなんだろうか?
「あなた、まだいらっしゃったの? もう、お別れなさってるかと思っていたのに……」