「いや、それこそ久しぶりに一緒に過ごせる休みだから、俺がしっかり作りたいんだけれど」

 本当に、雅貴さんは。
 イケメンで仕事も出来て、そのうえ生活力まであるのに世話焼きな面まであるのだ。
 こんないい人を、そうそう周りがほうっておかないだろうに。
 私を選んでお見合いしちゃうんだもんな……。

 「雅貴さん、自分の顔色見ましたか? いつも頑張ってくれてありがたいです。でも私、明日はゆっくり休んでほしいんです」

 そんな私の意見に、雅貴さんは苦笑しつつ受け入れてくれた。
 私は休みだが平日と同じように朝の目覚ましをかけて眠ることにした。
 ちなみに目覚ましは三個順番に五分おきに鳴る仕様である。
 これでも、休日起きれるかは五分だが、明日はやる気があるので大丈夫だと思う。

 さぁ、明日はしっかりご飯を食べてお家でゆっくりしてもらおう。

 翌日、やはり疲れのたまっていた雅貴さんは普段の休日の私のようにゆっくりと起きてきた。
 それを見越して準備していた、多めのクロワッサンにオムレツとサラダにコンソメスープで朝食をセットした。
 「あぁ、茉奈花ちゃん。遅くなってごめんね。本当は僕の担当なのに、ありがとう。落ち着いたら、少し一緒に出掛けよう?」

 その提案に私は少し目を見張ると、雅貴さんに聞く。

 「疲れているのでしょう? 今日はゆっくりお家で過ごせばいいと思う」

 そんな私の返事に、雅貴さんはふわりと笑って言った。

 「せっかく婚約者と一緒に久しぶりに過ごせる休日だよ? 季節も変わりだしてるし、久しぶりに近所で良いから散歩に行かない?」
 
 どこまでも柔らかく微笑みつつだが、この提案は譲れないらしいことが窺えて、私は頷いたのだった。