着替えて戻ってくる頃には温かなうどんが出来上がっていて、湯気を上げて出迎える。


ちなみに、疲れていても食べる量は余り変わらない雅貴さんに合わせて鍋焼きうどんは、大きめの土鍋に二人前分より少し多めの量で作ってある。


「美味しそうだね。頂きます」

綺麗な姿勢と箸使いで、やはりあっという間二人前よりやや多めのうどんを食べ切るのを見つつ、私は冷蔵庫からデザートを取りつつ、準備していたお茶を持ってきた。

「寝る前だから、ほうじ茶ね。明日は、また出勤?」


聞きつつ、お皿に乗せたのはどら焼き。
大きな身体と見た目の美しい雅貴さんだが、一緒に暮らして見つけたのは、大の甘党だということ。
出掛ける時は大抵デザート付きで、美味しそうに最後までぺろりと食べるし、更にその帰りに美味しい洋菓子店や和菓子店があれば寄って帰り、夕飯の後のお茶タイムにも甘味を楽しんでいる。

なので、今回はお見合いでも行った和菓子屋さんのどら焼きを買ってきたのだ。
秋限定の栗入りどら焼き。
私も実はこの季節に楽しみにしているものだ。

「買ってきてくれたんだ? 疲れもピークだったから嬉しいな。やっとまともに、茉奈花ちゃんの顔も見られたし」

そう言って嬉しそうに食べる雅貴さんは、年齢より少し若く見えて、可愛く思えてしまう。

「あと、明日やっと久しぶりに休めるんだ。待っていたリコール部分の新しい部品が届いて、整備も落ち着いたからね。そろそろ、減ってた運航便も戻るよ」

ようやく落ち着いたらしいことを知り、私はホッとするとともに明日の朝について提案する。

「明日は私が朝ごはんの用意をするから、ゆっくり休んで。忙しいのにご飯ずっと用意してくれてて、心配だったから」