「疲れただろう? お昼は軽くなにか食べに行こうか?」
その提案に頷いて、私は思ったことを口にした。
「でも、夕飯は材料を買ってきて私が作りますね。 基本、早く帰るほうがご飯を作るということで、いらないときは早めに連絡ください」
そんな私の提案に、雅貴さんは頷くとさらに付け加えた。
「それなら、朝食は僕の担当で。夜はどうしても遅くなるから、朝は僕が準備するよ」
一緒に住むなら、ある程度どう生活していくかは話し合わなければならない。
朝が実は弱い私には、ありがたい提案だった。
きちんと夜更かしをしないで寝ても、なかなか朝に起きるのが大変なのだ。
社会人になってからは遅刻しないために無理やり起きているが、兄さん曰く起きれないのは低血圧だからだそう。
上が寝起き百もないので、確かに低血圧なのだろう。
こればかりは体質みたいなので仕方ないと、仕事のある日は気力のみで乗り切っている。
実家にいるときは伯母さんに起こしてもらっていたが、それも学生時代まで。
その後は、なんとか平日は起きている。
休日は休みだという意識があるため、よほどの予定がない限り惰眠をむさぼっているし、身体が素直に起きてくれるまで寝ていることが多い。
「助かります。実は、朝弱いので一人の時はコーヒーだけだったんですよね……」
情けないけれど、事実なので話せば雅貴さんは少し目を見開いた後に優しく微笑んで言った。
「それじゃあ、朝は僕が作って茉奈花ちゃんを起こしますね」
「いや、起きるのは自力でなんとかします!」
クスクスと笑う姿に、どうやらからかわれたと気づいたが、嫌な気持ちにはならなかった。