雅貴さんは、にこやかに登場しその後ろの引っ越し業者は部屋に入ると、とっても手際よく荷物を運び出してくれた。
一人暮らしで、そこまで荷物を増やしていなかったので、引っ越し作業はあっという間だった。
荷物の無くなった、がらんとした部屋を雅貴さんも手伝ってくれて、掃除を終わらせると管理会社の立会いの下、部屋を退去したのだった。
引っ越したレジデンスの部屋は兄さん夫妻の上の部屋だが、間取りが違う。
一つ階が変わったら、部屋の広さと間取りが違うことを部屋に入って気づいた。
兄さんたちの部屋は3LDKに納戸付きの間取りだったが、この部屋、どれだけ広いの?
リビングも広くて、眺望もいいし、日当たりも抜群なのは下と変わりないけれど、部屋数も違う気がする。
「二人で住むには広くないですか?」
そう、聞けば雅貴さんはさも当然みたいな顔をして言い切る。
「これから結婚すれば家族も増えるし、広い方がいいと思って」
うん、まだ結婚するとは決まっていないけれどね!!
行動力の速さが、やはり企業で役員になってるだけあるのだろうか……。
一般企業で働いたことがないので、比較も出来ないけれど、伯父とはやはり違うと思う。
「茉奈花ちゃん、こっち」
そう呼ばれて、雅貴さんの方に行くとある扉を開けてくれる。
「ここが、当面は茉奈花ちゃんの部屋。荷物は入れてもらったから」
「ありがとうございます。それじゃあ、さっそく整理してしまいますね」
そうして、一旦私たちは分かれて引っ越しの整理を始めた。
ここには服や化粧品に雑貨と本がある。
キッチン用品やなんかはたぶん、そっちに持って行ってくれたのだろう。
箱に中身書いておくのは大事なんだなと感じつつ、私はあまり多くない荷物の整理を小一時間で終えると、キッチンへと向かった。