ほのかはそれだけ言うとかばんを手にし、会議室の外へと飛び出していく。天良たちは突然のことにポカンとしていた。ほのかは初めて三国家に逆らったのだろう。

ゼルダたちは「やるじゃん!もっとやれ!」と密かに喜び、蘭は胸元にあるエメラルドのブローチを握り締めた。



「はあ〜……。まさか離婚騒動になるとはなぁ。スッキリした!」

夕方、今日あった出来事を思い出しながら圭介は駐車場へと向かっていた。顔を真っ青にして帰っていった三国家の人たちのことを思い出すと、自分がヒーローになれた気がしてニヤけてしまう。

「神楽さん、三国家の人ともう一度会っちゃったけど大丈夫だったのかな……」

圭介は蘭の顔を思い浮かべ、胸を高鳴らせた。自分より年下だというのに、蘭を纏う空気はどこか不思議なものだ。蘭の隠したいもの全てを隠し、誰にも触れられないような気がする。

蘭は三国家の人間が帰った後、いつものように仕事をして圭介よりも少し早めに出て行った。いつも遅くまで仕事をする蘭にしては珍しい。