――しっかり目が合った。

憂鬱と不機嫌が合体した寝起き顔でわたしたちを指差して、


「あそこ、なにやってんの」


扉付近にいた女の子に低い声で問いかける綾川くん。



「えっと、誰かが咲綾ちゃんに激しくぶつかって、それに風間くんが巻き込まれた感じかな」

「……は……しぬほどウザ」

「えっ、なんて?」

「んーんなんでもなぁい」



なにやら小声で会話を済ませると、スタスタ中に入ってくる。

避けて通ればいいハナシなのに、わざわざわたしたちに被るルートを選ぶあたり、性格が悪──


「邪魔」

「っんぐ」


首根っこを掴まれて、上体がふわっと宙に浮く。

とてつもなく雑にわたしの体を立たせた綾川くんはパッと手を離して、

お次は風間くんに目を向けた。



「風間ダイジョーブ? 押し潰されて体ペシャンコになってない?」


眉毛をハの字にして、心配そうに首を傾げてみせる。