なんなのよ、その意味深な笑みは。


嬉しそうというか、楽しそうな感じ。


おかしなことや変なことは何も言ってないはず。


顔は熱くなってるけど、赤くなるほどじゃないと思うし…。


どんなに考えても真意は分からないから、気にせずにさっさと乾かしちゃおう。


でも、その前に。


霧島先輩のこと聞いておきたい。


ブローを続けながら、私は小さく咳払いをした。


「そう言えば、今日のお昼休みに渡り廊下のところで霧島先輩とお喋りしてたよね、颯己」


「きりしま……?あぁ、廊下を歩いてたら急に呼び止めて来た人のことか」


「名前、知らなかったの?」


「知らない。自己紹介された気もするけど、興味ないから話聞いてなかった」


それぐらい、ちゃんと聞きなさいよ。


っていうか、颯己って霧島先輩のこと知らなかったの!?


男子から圧倒的な人気を集めているぐらいの有名人なのに…。


驚きのあまり、危うくドライヤーを落としそうになってしまった。