水葉は声がする方へ再び向かいました。
それからしばらく山を歩きましたがやはり周りが何も見えません。
(もう帰っちゃったのかな……)
水葉が諦めて家に帰ろうとした時。
「ねぇ…あなた……私の………ってるの…?」
(え……誰かいるの?)
どこからか声がして辺りを軽く見渡してみましたが誰もいません。
(気のせいなのかな…)
帰ろうと思い前を向いた瞬間──
「………っ!?」
目の前に少女が立っており水葉は驚いてザッと後ずさってしまいました。
その少女は月の光に照らされてうっすらとその姿が見えました。
表情は周りが薄暗いせいかよく見えませんが白く薄汚れたワンピースで前髪が顔にかかってしまっています。