初めてお互いの名前を聞きあった時、全てを思い出した。
柚葉は私の双子の妹だった事、私のいない間に柚葉がいなくなってしまった事。
お父さんとお母さんが柚葉の事を聞く度に苦しそうな顔をしたことも──。
柚葉はあの日、ある男の人に心臓を抜かれて死んだらしいの。
その男の人は色んな動物の心臓だけを抜き取って動物の死骸は小倉山のどこかの大きな木の下に埋めてるのを見てしまったから、その口封じに命を取られた──。
水葉は縄で両手首を縛られてこの木の幹に吊るされた。
そう柚葉の事を説明しながら私は柚葉が吊るされた木の前へ雫達を導いていく。
その木の幹には、腐りかけた縄が結んであってここに柚葉が縛られていたということを物語っていた。