「えぇ!?何それこわっ」
学校が終わってみんな一斉に帰宅するなり部活に行くなりでガヤガヤしている時間帯に華元水葉はクラスの友人から小倉山についての噂を聞いておりました。
「でも俺お袋から小倉山には近づくなって聞いてるぞ」
話の輪の中にいた1人の男子が眉をひそめて言いました。
「山に入ったら最後、絶対に山から出られないって──」
男子の言葉にメンバーの全員がゴク……と喉を鳴らして唾を飲み込みました。
「で、でもっ!ただの噂でしょ!?気にする事ないって!」
水葉は少し焦りながら自分のカバンに教科書などを詰め込みました。
その為教科書の表紙が少し折れてしまったのですが本人はもちろん気づきません。