「みなみって、その子が噂のみなみちゃん?」
上級生にも噂になっているのは知っていたけれど、橋田先輩は存在は認識していなかったようで、まじまじと彼女を見つめた。
「みんなが言ってるだけある。可愛いね」
特に下心なく嫌な感じもなく、さらりと言う様子に少し意外だなと感じる。
恥ずかしがることなく女の子に可愛いと言えるんだな。
「ありがとうございます」
「謙遜しないんだね」
同じく顔色変えることない彼女に橋田先輩は少し笑った。
「可愛い子って自分のこと可愛いって分かってるんだ」
そこに山木が入ってくる。
少し嫌味みたいな言い方に彼女も橋田先輩も空気がひりついたのが分かった。