「しょうちゃん、おまたせ」
顔を出したのは彼女とジャージ姿の橋田先輩だった。
「あれ、先輩どうしたんですか?」
「お弁当箱忘れちゃって。俺お昼はここで食べてるから。」
そう言うと流しの側にあるお弁当箱を手に取る。
男にしては可愛らしい包みのお弁当箱だった。
「この子翔平の彼女?」
「違いますよ、幼なじみです」
もう慣れたお馴染みの答えを淡々と言う。
「先輩はこんな時間までなにしてたんですか?」
山木が話しかけてると、橋田先輩は陸上部でもあるんだと答えた。
僕は最初のほうに陸上部との掛け持ちということを聞いていた。
ほとんど陸上部に出ているから文芸部にはあまり顔ださないと。
「コップ洗おうか?」
僕が片付けを始めると彼女が近づいてくる。
「いや、大丈夫。みなみは座って待ってて」