「昔からそうだからね。男にも女にもモテるし、先生からの評判もいいし」



彼女が褒められると嬉しい。

けれどやっぱり僕とは違うなと思って悲しくもある。


彼女の噂を聞くたびに複雑な気持ちになる。





「性格いいって里帆が言ってた。けっこう誰にでも話しかけてるって。だから翔平とも仲良いんだろうね。幼なじみでも普通これだけ違ったら、そんな仲良くないよ」



多分何の悪気もない山木が平然と言うから少し胸が痛む。




「高校デビューなのか、小野さんに感化されたのか分からないけど、最近女の子みんな可愛くなってるよね。スカートも短くなってるし、化粧もしてる人いるし。真面目が取り柄の学校なのにね」



そう言う山木はスカートは膝丈で化粧っけなく、Yシャツのボタンも第一だけ開いているも、リボンはだらしなくない程度につけられている。


髪の毛はショートだからか、アレンジしてないけれど、その他にも特に何かした様子はない。





なんか少し感じの悪い言い方だなと思ったけれど、今は二人きりだし、思っていることを話しているだけなんだろう。



そうだねと答えようと思った瞬間、文芸部の部室が開いた。