一瞬僕の顔を見つめて、すぐに俯いて僕の腕を軽く叩いた。


そして言われた通りにつり革と僕の腕を掴む。





途端に胸が少し苦しくなる。



俯きながら僕を叩くのは、彼女が照れてるときにやる癖だった。





照れてる顔が見たい。


そこまで小さくない彼女の顔が見えないのは、胸まである髪の毛に隠れているからでもあった。


昨日アレンジしていた髪の毛は今日は何もせず下ろされており、この距離では良い匂いを感じる。


さっぱりとした柑橘系の香り。




満員電車じゃなかったら、顔を覗きこむのに。