「どうだった?」


友達の恵から電話がかかってきたのは、その夜のことだった。




「みなみちゃんいて驚いたろ?」



母親だけじゃなく、恵も彼女に言われて僕を騙していた一人だ。


小学校で一緒になり仲良くなった恵は、その後彼女と同じ中学に入ったため、彼女の中学での様子は恵から聞いていた。




「みなみちゃん、俺らの中学の隣にある高校に行くらしいよ」


そう言った恵を疑うことなく信じて、特に進路のことを話さなかった彼女にも疑問をもたず、騙されたのだ。