柔らかい体に柔らかい唇、一瞬出た甘い声に彼女の良い匂い。


その全てが五感から入ってきて体が熱を帯びるのが分かった。


腕の中の彼女以外のことを一生懸命に考える。





……よし。

こういうときの数式と両親の顔は偉大だ。


一瞬で現実に戻れる。





「ほら、勉強するから離れて」


そのまま離れたら彼女は不満そうな顔をしていた。




「もう終わりなの?もっとくっついていたい」



ストレートなんだよな、いつも。


そうは言いつつも、さっきキスしたあとも少し震えていて恥ずかしがっていたのを知っている。



別にゆっくりでいいと思う。