世界が、黒く塗りつぶされた。

喉が焼き上がったように痛み、声が出せない。

遅れて瞳が温まり、歪み、それは私の手の甲を濡らした。

「いや……っ……いや……!」

手から滑り落ちた携帯を、瑠璃さんが受け止めた。

私はまだ子供状態のまま、いやいやと泣き叫んで目に痛いくらい真っ白の布団を涙で汚す。

……守れなかった。

私の命より、大切な人。

私の生きる希望の光でいてくれた人。

悲しみと悔しさと、どこにもぶつけられない怒りが膨らんで耐えきれずに心が割れていく。

どうして、私からあの人を奪ったの?

あの人が死ぬなら、私が死ぬべきではないの?

どうして善人が死ぬのよ、私なんて悪人をこの世に残して。

――もう、私に生きる意味なんて、ない。

私は私の太陽を失った。

「天藍ちゃん?」

ここは、何階かわからないけれど、木の枝の先や、家の屋根が下に確認できるから、それなりの高さはあるだろう。

私は痛みも感情も理性も喪い、窓枠に足をかけた。

「何してるの、天藍ちゃん、だめだよ……!」

瑠璃さんの呆然とした、中身のないような空虚な動きで私を捕まえようとした手を躱す。

私は笑った。

「私、捨て子らしいんです。唯一の肉親さえも失った私に生きる意味はない」

「天藍ちゃん!!」

瑠璃さんの叫び声に押されたように、宙に身を投げた。