……っ‼


 私の唇と雅陽の唇が。
 重なり合う寸前。

 雅陽は動きを止めた。


「…………」


 雅陽は無言でキョトンとした表情(かお)をしている。


「……彩ちゃん……」


 だけど。
 すぐに口を開いて。


「そんな彩ちゃんも可愛い」


 そう言って雅陽はやさしい笑顔で私の頭をやさしく撫でる。


「……っ‼」


 あまりの恥ずかしさに。
 さらに顔の熱が急上昇する。


 なぜなら……。
 雅陽の唇が重なる寸前。
 そのとき私が……しゃっくり、してしまった、から。



「さてと。
 もうひと頑張りしようか」


 雅陽は私からやさしく離れ。
 再び机に向かった。


 私も雅陽に続いて机に向かった。

 のだけど。
 胸の高鳴りが、しばらく治まることはなかった。