玄関のドアを開け。
太鳳くんに「じゃあ、またね」と言って晴海家を出た。
外の空気が。
水分をたっぷりと含み、とてもジメジメとしている。
雨上がりの独特の匂いもしている。
雲と雲の間から。
やさしい陽の光が降り注いでいる。
その光を感じると癒されて、さっきまで激しく動いていた胸の鼓動も治まるはず。
それなのに。
なぜだろう。
まだ。
高鳴り続けている。
胸の鼓動。
それと同時に。
まだ残っている。
さっきの……太鳳くん……とのこと……。
離れない。
頭の中から。
太鳳くんのことが……。
太鳳くんのことを。
考えれば考えるほど。
胸の高鳴りも。
だんだんと激しくなってくる。
どうして。
どうしてこんなにも……。
…………。
……もしかして……。
気になっている……?
太鳳くんのこと……。
そう思えば思うほど。
胸の高鳴りが治まることはなく。
しばらくの間、続いた。