* * *


「あっ、お母さんからだ」


 しばらくすると。
 お母さんから着信が。


 晴海家に入るとき、お母さんに【家の鍵を忘れて晴海家に入れてもらっている】というメッセージを送っておいた。

 そして送ってあったメッセージをお母さんが見て連絡してくれた。


 着信を受け通話する。
 お母さんは『家に帰ってきたから戻って来なさい』と言った。



 お母さんとの通話を終え。


「太鳳くん、お母さんが帰ってきたから、そろそろ帰るね。
 その間、家に入れてくれて本当にありがとう。
 すごく助かった」


 太鳳くんにそう言って立ち上がろうと……。


 って。

 えっ⁉


 どうやら。
 足が痺れてしまっていたようで。

 気付いたときには。
 身体が傾いて―――。


 ……⁉


 と思ったら。
 私の身体は。
 太鳳くんに抱きかかえられていた。


「大丈夫?」


 太鳳くんのやさしい声。


「大丈夫。
 ありがとう、太鳳くん」


 そう言って太鳳くんから少しだけ離れた、とき。