”母様は、別の世界から来たの?”
”そうよ。私はね、”人間界”という場所から来たの。
奈未もいつか大きくなったら
奈未は奈未の思う道を進めばいいの”

そう言ってくれた母も、今は弟にしか目をくれない

だから、昔聞いたお母様の言葉を頼りに人間界へ行くの


「奈未?何をして・・・」

「お母様。あたしを止めないで。
あたしは、人間界に行くの」

「そう。奈未は、奈未の思う道を進みなさい」

え?

「あたしは、アイツから逃げられなかったけど
奈未は、いいのよ。あいつに縛られなくて」

あいつ?

「麗奈。何をしている」

「凌」

びくっ
凌とは、あたしの父で、この魔界の王だ

「奈未を怖がらせないで頂戴」

「何を言っている。
奈未。この屋敷を出たらどうなるか分かっているだろう」

分かっているわ。
だけど、あたしは、ここにいたくないの

「奈未。人間界へ行く魔法陣は分かっているのでしょう?」

「うん」

「なら、行きなさい。
向こうの世界で”水上彩”という人を探しなさい。
私の名前を言えばわかるから」

「で、でもっ」