「あれ、阿木野さんじゃありません?」

そう声をかけたのはしずかの兄、かなとだった。

「まさかこんなところで会うとは、昨日はしずかがお世話になりました。少しお話しませんか?」

かなとは悟に近くにあるベンチに座るよう言った。

「阿木野さんはしずかとははじめて会ったんですか?」

「いえ、彼女の働いているビルへ所用があり、そこで見かけました。笑顔が素敵だなと思いました。」

かなとの問いにそう答えた悟、そんな悟を笑みを浮かべながら見た。