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『着いたよ』
放課後、絢斗くんが一人暮らしするマンションに着いて、メッセージを送る。
セキュリティのしっかりしたマンションの上層階に、絢斗くんは1人で住んでいる。
中学生の時から始めたモデルの仕事が忙しくなって、高校入学と同時に1人で上京した。
って、珍しく自分のことを話してくれた絢斗くんから聞いた。
絢斗くんはほとんど自分のことを話してくれないから、これは私の知ってる絢斗くんの数少ない情報だ。
さっき送ったメッセージに既読がついて、ガチャリと目の前のドアが開く。
そこから出てきたのは、部屋着の黒いスウェットに着替えて、気だるげな顔をした絢斗くん。
戸惑う私に「早く入れば」とだけ言って、もう部屋に戻ってしまう絢斗くん。
慌ててそれを追いかけて、「お邪魔します!」と部屋に上がる。