「……どこで覚えてきたわけ」
私を見下ろす、不機嫌な目。
私の髪を撫でるように触ったその大きな手が、そのまま後頭部に降りて、引き寄せて、首筋にも触れて。
触れるか触れないかくらいの甘い感触に、ぞくりと熱が生まれる。
「んん、っ」
私のほうが有利だったはずの形勢はいつのまにか大逆転で、私は絢斗くんの指と唇に翻弄されるしかない。
軽く胸に触れただけで大げさに跳ねてしまう腰が、私の羞恥心を煽る。
「や、やだ、」
「お前が誘ったのに?」
「違、」
「違わねーだろ」
その男の子な表情が急に怖くなった。
だってもしこの先に進んで、それが終わったら、私たちの関係も終わってしまうんじゃないかって。
絢斗くんは私を、私と同じように好きじゃないのに、そういうことしていいのかわからなくて。
じわりと浮かんだ涙を見て、絢斗くんは眉をしかめる。